Category: Film
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前半の人情噺のような部分が好きだ。國村隼が演じる商人は最初は好ましくない性格の人物として登場するが、主人公の浪人と気心の通じ合った碁敵となってからは懐の深い善人になる。浪人は実直だが堅物な人柄で最初はほとんど感情を表に出さないが、相手役の商人は表情や仕草で変化が見て取れる。この商人がいなければ、主役の浪人だけで物語の前半部は平坦でつまらないと感じたかもしれない。國村隼という役者が本当に素晴らしいのだと思わされた。 主演の草彅剛は自分と國村隼のラブストーリーだと映画を語ったそうだが正しくそうだったのだと思う。
鑑賞後に知ったが、元は講談を落語に転換したものだそうだ。人情噺の後半部に激しい場面を付け足して映画に仕立て上げたものだった。
世界的に有名なビデオゲームを実写化したテレビドラマシリーズで、日本ではアマゾンプライムビデオで視聴できる。 SNSで話題になっていて気になっていたが、先にディズニープラスで『SHOGUN』を観ていたのでこちらは後回しにしていた。
僕自身はFallout4を少しだけ遊んだことがある程度だけど、このドラマはとても楽しめた。それくらいゲーム自体がしっかりした世界観を持っていて、ドラマ版でも同じイメージを保持しているからだろう。でもゲームをプレイしていない人に楽しめるかはちょっとわからない。
放射線の影響でゾンビのような見た目の不死者になった登場人物のクーパーが格好良い。
無法地帯の地上世界【ウェイストランド】、完全無欠ようで実はそうではなかった地下のヴォルト、そしてクーパーが人間だった頃の200年前の三つの世界を舞台にして物語が進んでいく。シーズン1では終わる気は全くないラストだったが、シーズン2までは制作が決定しているのでしばらく楽しめそうだ。
ジェヴォーダンの獣 ディレクター・カット
🍿 Brotherhood of the Wolf (2001)
邦題は『ジェヴォーダンの獣』。ずいぶん前に観たときに傑作だと感動した。 フランス映画でジャンルとしては伝奇物なんだけど。アクションがカンフーだったり、獣の背景に潜む犯人を探す推理ものの要素もあったりと楽しい映画になっている。複数ジャンルを詰め込んで失敗した映画という評価もあるようだけど。こういう要素が好きな人には堪らないものがあると思う。僕がそうだった。
ジェヴォーダン地方に出没して人を食い殺した獣の伝説に、現代的なフィクションを加えて娯楽作品に仕立て上げている。 獣を追う主人公のバディ役が新大陸から連れてきたインディアンの生き残りで、格闘シーンではカンフーアクションになる。 主人公は優男の学者に見せて、終盤では恐ろしく強いことがわかる。この辺りの唐突な物語の転換もすごく好きだった。 獣の正体が非実在の生物ではなく、現実に存在する動物に仕掛けを施したものなのも面白い。
最近、京極夏彦の百鬼夜行シリーズのひさしぶりの最新作を読んでいるせいか、あの世界観にカンフーを持ち込んで荒事で事件を解決させたらこうなるんだろうなと想像してしまった。
40歳代後半になって自分の好きなものがハッキリしてきた感覚がある。
本当に素晴らしいシティーハンターの実写化
今まで何度も映像化されたオリジンの部分を今作でもなぞっている。 シティーハンターとしては新しいストーリーではないのに、いままで観たことのない映像化だと思わしてくれてたのは、主演俳優の発声やアクションシーンでの身体操作などに寄る部分が大きい。例を出せば、ハイスピードのリロードとそれを実現するために演者自身が払ったコストの大きさがSNSでも話題になっている。制作側の昔好きだった作品、主人公への憧憬そのままに映像に落とし込もうとしている。少年漫画誌の黄金時代と同時にテレビアニメーションも最盛期であり、同時期に作られた素晴らしいアニメーション版への尊敬も込められている。 意外にも本邦ではこれが初の実写化(続編のエンジェルハートがあるが)で、フランスの実写映画もすごい出来栄えだったけど、夜の新宿にいてこその冴羽獠でありシティーハンターなのだとあらためて気づかせてくれた。
コングが主役でゴジラが客演かな
🍿 Godzilla x Kong: The New Empire (2024)
どんな映画かはSNSを通じて知ってたんだけど。観たら予想よりもずっと無茶苦茶な映画だった。躊躇いなく娯楽性に振り切っていて、コングとゴジラそれぞれのシリーズにあったシリアスな雰囲気はほとんどなくなっている。VS映画ってだいたいこういうお祭り騒ぎみたいな仕上がりになることが多い気がするが。とにかく今回は楽しくて面白い作品になっていた。
どちらかというとコングが主人公なんだけど。ゴジラは本邦のキャラクタであるし、ハリウッド版ならコングが主役で正しいのかもしれない。ゴジラが日本発のモンスターだというのは途中ですっかり忘れてしまっていたけど。
日本の不良高校生達が対決するジャンルムービーの流れを汲んでいるようだけど。あれも元々は昭和のヤクザ映画とか番カラの流れから来てるんだろうし。なんでハリウッドの最新の映画が日本の昭和っぽい展開になったのか不思議でならない。ハリウッドって本当にすごいんだな。
Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One (2023)
🍿 Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One (2023)
AppleTVでレンタルしてベッドの上で2日に分けて観た。 劇場で公開されていた当時は評判が思ったより良かったと記憶している。このシリーズは長く続くうちにトムクルーズのプロモーションムービーと揶揄されるようになっていたし。僕も数作前から映画館で観ることは無くなっていた。 今回はというと、思ったよりも楽しかったというのが正直な感想だ。ちょっと長すぎる気はしたが、その分詰め込んだ感じはしなかった。中盤以降の格闘シーンは舞台演劇のようなものもあったし。逆にすごく狭い路地で泥臭く肉体をぶつけ合うものもあった。大作映画では珍しい変わった演出だと思った。 すごく面白いとは思わなかったけど。次の作品は劇場で観てもいい。
予知能力に目覚めた主人公が、関わりのなかった3人の少女を救うために奮闘するお話だった。 ストーリーはシンプルだが、スパイダーマンの要素と説明的な場面が多くて没入しにくくなっていた。 この2つの要素をもっと抑えていたら、もっと良くなったのかもしれないけど。 それだとスパイダーマンの映画である必要がなくなってしまうから。難しかったんだろうな。
『カラオケ行こ!』
🍿 Let’s Go Karaoke! (2024)
驚いたことにこの作品が僕の中で今のところのベストワンだ。『哀れなるものたち』とどちらがと言われると難しいんだけれど。日本国内で制作された映画作品でいえばナンバーワン。この作品に対するSNSで上がったコメントの一つに「ヤクザを肯定するのか」という的外れなものがあった。俳優がヤクザ役を演じているコメディに対する評価としてはかなりずれた発言だと思っていたんだけど。意外にもそうではなかった。カラオケが上手くなりたいヤクザが中学生の合唱部員をカラオケに誘うという、非現実的な設定を生身の役者が生真面目にやっていても不自然でないように見える脚本と巧みな演出がされているのだが。これがとても危ういように見える。現実に知り合いではない大人に着いて行ったら酷い目に遭うのがオチなんだけど。この映画を観てしまうと、とてもドキドキする出逢いが待っているように錯覚する。大人目線で見たらけっこう怖い。演じてるヤクザ役の綾野剛が常に魅力を振り撒いていて、そのことが映画自体の成功の要因ではあるんだけど。現実にあんな人がいたら、誰だって着いていってしまいそうで怖い。